皆様の会社では、製造現場においてAIや画像認識技術をご活用されていますか?
製造や品質保証のプロセスにおいて、製造設備や製品の異常検知や不良検査は商品の品質を担保するうえでなくてはならないものです。しかし、コロナ禍による接触機会の減少や人材不足による技術の継承が難しくなっていることにより、製造設備や製品そのものの品質担保に課題を抱えている企業が存在します。
本記事では、製造業におけるAI画像認識技術とは何かについて簡単に説明したうえで、具体的なAI画像認識のサービスをご紹介します。
AI画像認識とは
画像認識とは、画像や動画に映っているものをコンピューターで識別する技術です。例えば、ある果物を撮影した写真データを読み込むと、それがリンゴなのか、あるいは梨なのかをコンピューターが瞬時に判別することが可能です。
画像認識技術の歴史は古く、1960年代に人工衛星の画像解析など限られた分野で研究が行われていました。それ以降はコンピューターの性能により、医療や工業など他の分野でも画像認識技術が広まりました。
画像認識技術を語るうえで、AI、機械学習、深層学習の違いについて理解をする必要があります。
AI、機械学習、深層学習の関係性については以下の図のとおりです。

https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r01/html/nd113210.html
製造業にてAI画像認識が求められる背景
現在、国内の多くの製造現場では様々な課題が生じています。
- 新型コロナウイルスによる出社などの制限により、接触機会の削減
- 少子高齢化などによる人手不足
- スキルを保有している方や熟練者が高齢化または退職により、スキルを後継者に継承できない
- 作業者の目視検査により、判断基準がバラバラで品質が安定しない
業務効率化、生産性向上、目視検査の自動化、判断基準の標準化、スキルの継承などのニーズが高まっています。これらの課題を解決するための手段として画像認識技術が用いられるようになりました。
製造現場でAI画像認識を導入するメリット・デメリット
AI画像認識を導入するメリット
製造業でAI画像認識技術を導入するメリットとして、人が判断していた作業の省人化が挙げられます。
本メリットの主な事例として、製品の製造工程での検品・外観検査・異常検知の自動化があります。AIに不良時のデータや正常時のデータを大量に学習させ、不良品を検出するためのアルゴリズムを構築することで検品作業の自動化を実現します。
検品作業の自動化に伴い、人を常時配置する必要がなくなることによる人件費の削減や人的ミスによる誤検知や誤検出の抑制・改善にもつながります。
AI画像認識を導入するデメリット
不良品を判別するためのアルゴリズムを構築するためには数百から数万単位のデータが必要です。データ量が不足していたり、必要なデータが揃っていなかったりすると、期待しているほどの画像認識の精度を得られない可能性があります。
また、AIが結果を出しているがために、答えを導き出すまでの手順がブラックボックス化され、導き出された答えの根拠が分からないという問題が生じます。根拠を説明できないがために、AIの結果について関係者に納得されないという可能性もあります。
また、コスト面についても、アルゴリズムに対するメンテナンスやAI画像認識のツールの利用料に対して維持コストはかかるため、場合によっては費用削減につながらない可能性があります。
主なAI画像認識システム・サービス
タクミノメ
タクミノメは、数々の大手企業のデータ分析に対する豊富な実績のあるALBERT社が提供するAI画像認識サービスです。ALBERT社は近年のAIの急速な進化の中でも機械学習・深層学習(ディープラーニング)技術の研究・技術開発に注力し、製造業をはじめ様々な分野に対してAIを実装してきました。
直感的なユーザーインターフェースを提供しており、エンジニアでない方も簡単にアルゴリズムの変更が容易です。AIの学習状況をグラフで確認でき、閾値を調整することで良品と不良品の境目を変更できます。主な活用事例として、製造業においては主に不良品を判別する「外観検査」などに活用されています。
PoCと呼ばれる実証実験のフェーズを約1ヶ月間という短期間で実施が可能です。一番初めのヒアリングや簡単なコンサルティングについては無料で実施できます。ALBERT社にてシステム開発も担うことも可能です。
製品名 | タクミノメ |
提供会社 | 株式会社ALBERT |
公式URL | https://www.albert2005.co.jp/takuminome/ |
利用料金 | ■初期費用 500,000円~ ■月額費用 月額200,000円~ |
ポイント | ・データ分析に定評のあるALBERT社が提供するAI画像認識サービス ・直感的な操作性・ユーザーインターフェースで簡単に学習を実施できる ・PoC(概念実証)フェーズを約1ヶ月で支援 |
A-Eyeカメラ
A-Eyeカメラは、AIによる画像認識技術を利用して「工場の見える化」を実現するためのシステムです。ネットワークに接続されたカメラで撮影された画像を元に、AIが生産設備や製品の状況を判断し、クラウド上に情報を蓄積します。蓄積された情報はリアルタイムで集計・分析され、状況の確認や異常を検知します。
当製品は画像による判別であるため、特定のメーカーや新旧に関係なく撮影可能です。A-Eyeカメラに必要なものは、市販のネットワークカメラとインターネットです。そのため、様々なメーカーの設備が混在していても一つのシステムで稼働監視できるため、低コストで導入できます
また、A-Eyeカメラは設置後も学習し続けることで環境の変化にも柔軟に対応し、正確なデータが取れることも特徴です。
製品名 | A-Eyeカメラ |
提供会社 | 株式会社テクノア |
公式URL | https://www.techs-s.com/product/a-eye-camera |
利用料金 | ■初期費用 300,000円~ ■月額費用 月額2,000円/カメラ1台 |
ポイント | ・メーカーや年代の異なるカメラに関係なく利用が可能 ・A-Eyeカメラの設置が簡単で低コスト ・AIによる機械学習でデータ分析の精度が向上 |
NEC Advanced Analytics – RAPID機械学習
RAPID機械学習を展開するNEC社は「ITR Market View:AI市場2020」において、2019年に設備点検向け ベンダ別売上金額シェア(2019年度)で第1位を獲得しており、多くの企業に利用されています。
例えば、大手化学メーカーでは製品の品質評価に活用されており、これまで目視で品質検査を行っていたものをディープラーニングによって自動で実施することを可能にしました。それにより品質検査の業務負荷の削減に成功しました。
このディープラーニングの技術は高い技術力を誇るAI研究機関のNEC北米研究所の研究成果によるものです。また、サポートサービスも充実しており、技術的な問い合わせ、バージョンアップやリビジョンアップ版の提供、技術情報の提供に対応した有償のサポートサービスを用意しています。
製品名 | NEC Advanced Analytics – RAPID機械学習 |
提供会社 | 日本電気株式会社 |
公式URL | https://jpn.nec.com/rapid/index.html |
利用料金 | 永久ライセンス450万円~(初年度保守込・論理2コア) |
ポイント | ・画像認識市場において国内シェアトップクラスのAI製品 ・AI研究機関であるNEC北米研の高度な技術力 ・安心の品質保証とサポートを提供 |
IBM Maximo Visual Inspection
BM Maximo Visual InspectionはIBM社が提供するAI画像認識サービスです。当製品の特徴の一つは操作性です。ユーザー部門でも扱える画像・映像向けのAI開発ツールであり、主にマウス操作でAI画像認識を開発・実行できるツールです。
また当製品はディープラーニング技術を採用しています。データ分析の際に画像情報などに何らかの追加情報を付記する「タグ付け(アノテーション)」と呼ばれる作業を行いますが、当製品ではこのディープラーニング技術により「タグ付け」を自動的に行うことが可能です。その結果データ準備作業を短縮できます。
さらに、生成される分析モデルを外部出力が可能ですので、出力したモデルを他のオンプレミスやクラウド環境に取り入られることが特長です。
製品名 | IBM Maximo Visual Inspection |
提供会社 | 日本アイ・ビー・エム株式会社 |
公式URL | https://www.ibm.com/jp-ja/it-infrastructure/power/learn/image-recognition |
利用料金 | 要問合せ |
ポイント | ・ユーザー部門を扱えるマウス操作を前提とした直感的な操作画面 ・タグ付けの自動化によるデータ準備の作業時間を短縮 ・学習済みの分析モデルを出力することで柔軟にデプロイ先を選択可能 |
MMEye
IBM Maximo Visual InspectionはIBM社が提供するAI画像認識サービスです。当製品の特徴の一つは操作性です。ユーザー部門でも扱える画像・映像向けのAI開発ツールであり、主にマウス操作でAI画像認識を開発・実行できるツールです。
また当製品はディープラーニング技術を採用しています。データ分析の際に画像情報などに何らかの追加情報を付記する「タグ付け(アノテーション)」と呼ばれる作業を行いますが、当製品ではこのディープラーニング技術により「タグ付け」を自動的に行うことが可能です。その結果データ準備作業を短縮できます。
さらに、生成される分析モデルを外部出力が可能ですので、出力したモデルを他のオンプレミスやクラウド環境に取り入られることが特長です。
製品名 | MMEye |
提供会社 | 株式会社YE DIGITAL |
公式URL | https://mmeye.site/ |
利用料金 | 要問合せ |
ポイント | ・エッジ端末の利用によりリアルタイムでAIによる外観検査を実現 ・使えば使うほど賢くなる独自の学習技術 |
AI画像認識により既存の製造業務を効率化
AI画像認識がどういった内容なのか、主なAI画像認識サービスについてご理解いただけましたでしょうか?
AI画像認識サービスを利用することで、商品の製造における品質検査業務の自動化や精度向上が実現でき、業務コスト削減や品質の向上を図ることができます。
今回ご紹介したサービス以外にもAI画像認識サービスも存在します。皆さんの会社が抱える課題と照らし合わせていただき、最適なサービスを選出いただき、課題解決につなげていただければと思います。
本記事が、皆さんの課題解決の一助となれば幸いです。