造船業界への展開が期待される情報通信技術と活用事例

特集

 20世紀最大の発明として取り上げられることもあるインターネット。実は、19世紀後半に全世界に張り巡らされた電信網を使ったモールス信号通信が元祖だと言われています。今では私たちの生活に欠かせなくなったインターネットですが、それを支えるのが情報通信技術です。情報通信技術の発展無くしてインターネットの発展はなく、現在も日々進化を続けている先端技術領域のひとつです。その技術の適用範囲も幅広く、造船業界においても活用が活発に検討されています。

 本記事では、造船業界で拡がり始めた新しい情報通信技術の概要を簡単に解説し、その活用事例を紹介します。概要をつかめた方は、最後に紹介する弊社ホワイトペーパーをぜひご覧になってみてください。本記事で紹介する事例の詳細や、他の事例について学ぶことができます。

造船業界への展開が期待される、進化した情報通信技術:技術概要解説

まずは、造船業界での展開が期待される情報通信技術を取り上げ、技術概要を簡単に解説していきます。

RFID(Radio Frequency Identification)

「近距離無線通信を用いた自動情報認識技術」のことを指します。データをメモリーに書き込んだICチップ(RFID)と読み取り装置との間で電磁波を交信させることでデータのやり取りが行えます。例えば部材情報を書き込んだRFIDを部材に貼り付けておくことで、棚卸し作業を効率化することが可能です。これまでは部材への情報付加手段としてバーコードが一般的でしたが、「汚れていても情報が読み取れる」、「複数部材の情報を一気に読み取れる」などのRFIDのメリットが注目され、今後の展開が期待されています。

5G(5th Generation)

第5世代移動通信システムのことを指します。1G:音声のみアナログ通信、2G:メールやインターネット通信、3G:高速な2G、・・・といったように、世代が上がるにつれて技術が進化してきました。5Gはこれまでの無線通信技術と比べて、「高速大容量」、「高信頼・低遅延」、「多数同時接続」といった特徴を持ちます。これまで移動通信の主な用途はモバイルでしたが、5Gからはインフラを支える通信技術になり、多用途になると謳われています。IoT時代の主役となる情報通信技術といえ、製造現場でもローカル5Gが構築され、あらゆる企業が活用を検討しています。

DX(Digital Transformation)

最近製造業でよく耳にする言葉ではないでしょうか。厳密には技術ではなく、考え方・思想のひとつですが、今後の情報通信技術活用にとても重要なキーワードであるため、解説します。

DXを一言で表すと「業務・製造プロセスを広範囲でデジタル化し、サービスや提供価値を変革させる」です。業務に情報通信技術を適応すると必ずデータが得られます。このデータを最大限活用することで、既存の業務やサービスを改善することができます。それが広範囲に及びあらゆる領域が最適化されれば、最終的に顧客への提供価値も変革するという考え方がDXなのです。

進化した情報通信技術:造船業界での活用事例

造船業界への展開が期待される技術について簡単に概要を理解いただけたと思います。ここからは、造船業界で情報通信技術を活用した具体的事例についてご紹介いたします。

RFID活用による仕掛品の受領確認・在庫管理の効率化:三井E&S造船(2018年頃)

解決する課題

在庫管理業務の効率化

背景

従来の在庫管理業務は、受領書や図面を確認しながら部品を検品・仕分けており、大きな労力がかかっていた

解決手段と効果

  • 注文書と紐付けたRFIDタグをサプライヤーに配布し、それが部品に貼り付けられた状態で納品されるようにした
  • RFIDタグを読み取るだけで検品が完了するようになった
  • サプライヤーからの部品受領確認にかかる時間が大幅短縮され、在庫管理が効率化した

5Gを活用した3D艤装視覚化システムによる艤装組立の効率化:大連中遠海運川崎船舶工程有限公司(2017年頃)

解決する課題

組み立てミスに起因する失敗コストの削減

背景

組み立て作業経験が浅い作業者は、2D図面から情報を読み取れず、組み立てミスが多発していた。

解決手段と効果

  • 5G基地局を設置し、大容量無線通信環境を整えた
  • 大容量通信可能になったことで、組み立て現場に3D図面を表示できるようになった
  • 詳細な構造や加工情報が見えるようになったことで、組み立て初心者でもミスなく組み立てることができるようになり、失敗コストが削減された

製造情報データベースを構築し技術伝承・業務効率化をDXで実現:東京ファクトリー(2021年)

解決する課題

製造現場での技術伝承の促進と既存データ有効活用

背景

製造現場において、高度な技術の伝承は「手順書+口頭」で行われる場合が多く、組織的なノウハウの蓄積ができていなかった。一方で、日々現場で撮影する作業写真はサーバーに保存されるのみで、有効活用されていなかった。

解決手段と効果

  • 写真を撮影する際に工程情報を付加できるようにした
  • 撮影した写真に熟練者がコメントすることで、これまで口頭で行われていた技術コミュニケーションをノウハウとして蓄積できるようにした
  • 作業写真が業務進捗管理データとして活用されるようになり効率化した。また、熟練者のノウハウが文章として蓄積されるようになったため、組織的な技術伝承が促進された

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