コロナ禍が続く中、製造現場は購買・製造・品質の管理や、技術伝承について課題が多く存在しています。製造現場は情報が分散しやすく、情報共有が難しくなっております。更にコロナによって追い風を受け、海外の工場など現場の情報をタイムリーに把握することが益々厳しくなってきている状況です。
このような課題に対して、SaaSを用いてどのように解決していけるのでしょうか。
本テーマについて、2022年2月17日(木)にNEWJI株式会社の代表取締役生田氏をお招きし、株式会社東京ファクトリー代表取締役池との共催セミナーを開催いたしました。
本記事では、SaaSとはどのようなものかという基礎的なところから、製造現場DXのアプローチに向けた各社SaaSのサービスについてもご紹介致します。
NEWJI 代表取締役CEO 生田 隆司
関西大学を卒業後、東大版の零細企業のスタンダード工業に入社。
調達購買のために上海に1年半駐在し、ビジネス中国語を取得。
その後、ノーリツ、トーソーなど、製造業の課題をデジタルに
最適化するNEWJIを創業。
東京ファクトリー 代表取締役 池 実
大阪大学大学院修了後、川崎重工業に入社。
産業用ボイラの生産担当として国内工場や中国・台湾などで
海外外注先の製作指導業務に従事。
その後BCGに転職し製造業やエネルギー企業向けのDX、
業務改革、ターンアラウンド案件に従事した後、
東京ファクトリーを創業。
製造業におけるSaaS活用トレンド ~東京ファクトリー~
SaaS市場は、年平均成長率13%と伸びており、2024年には約1兆2000億円へと拡大する見通しとなっており、まさに急成長している市場となります。
そもそもSaaSとは、「Software as a Service」の頭文字を取った略語です。これまでパッケージ製品として提供されていたソフトウエアをインターネット経由でサービスとして提供・利用する形態のことを指します。
SaaSのメリットはたくさんありますが、1番はなんと言っても「コスト」です。買い切り型のパッケージと違い、サブスクリプション形式なので安価にスタートでき、気に入らなければ解約できるので、導入しやすさがあります。また導入後も、サポートが付くため安心して使うことができ、常に最新機能にアップデートされる為、圧倒的に使いやすいです。
実はSaaSは私たちの身近でもたくさん使われています。コロナによって使用する方が急増したWeb会議ツール(ZOOM等)や、名刺管理アプリ、ビジネスチャット等も全てSaaSです。しかしながら、海外の製造業と比べて日本の製造業ではSaaS活用がまだまだ浸透しておらず、今後拡大していく必要があると感じています。

日本の製造業においても急拡大しているSaaSを活用しながら、DX化を進めていく必要があると言えるでしょう。
QCD調達購買の管理クラウドを活用したDX 〜NEWJI〜
先ほどのお話のように日本の製造業はSaaSが浸透しておらず、その要因としては、新しいサービスを生み出すための研究開発費が少なかったり、現場を理解しているSEやベンダーが少ないことだと推測しています。
それでもDXを推進していく上で必要なことは、具体的な課題の認知、管理職の決断、IT用のセキュリティリスクの把握をすることだと考えます。その上で情報の取得や、組織内での活用方法、管理維持等がより大事になってくると思っています。
しかしながら、DXの成功率は15%と言われており、少人数・小規模・小予算のスモールスタートが非常におすすめです。
そこで弊社が生み出したプロダクトを2つ紹介させて頂きます。
1つ目は、製造現場の中でも調達購買に目を向けたQCD調達購買クラウドです。
おばあちゃんでも使いこなせるをコンセプトにしており、「購買の全てを3秒以内」を目標に掲げています。3月に正式リリース予定としており、現在は無償プランを提供しています。直感的なシンプル操作で安心してご導入いただけます。

2つ目はオンラインVRでの工場視察サービスです。
現場を360度リアルタイムで撮影しており、国内外の状況をリアルタイムで把握が出来ます。細かい部分を高画質で見れるよう接写モード機能も搭載しています。

自社のサービスは、現場の方が使いやすいことを第一に設計している為、皆様には馴染みやすくシンプルなサービスとなっています。是非チェックしてみてください!!
Prceedクラウドを活用したDX 〜東京ファクトリー〜
製造現場の最大の課題としては、生産現場の情報が分散していることにより振り返りや情報共有が難しく、可視化出来ないことだと考えています。直近は新型コロナ拡大の影響により、サプライチェーン管理の難易度が上昇していると感じています。
Proceedクラウドは、工程写真をベースに製造現場のデータベースを構築しサプライチェーンの可視化を実現するシステムです。

写真を一元管理でき、特徴としては縦軸に部材、横軸に工程という二軸でマッピングしています。そのため、写真が行方不明になることがなく、管理されます。
またproceedクラウドはモバイルアプリも扱っており、写真の管理や撮影も可能です。
更に、毎日の写真を工程ごとに溜めていくことによって技術継承の元となるような情報としても活用いただけます。生産工程の一連のプロセスを理解することが出来るようになっており、写真ごとに書き込みやタグ付け、コメント機能がある為、暗黙知になっていた情報をコメントに残す等によってデータベースの価値を上げていくことが出来ます。
タグ付け機能については、タグ付検索を行うことが出来る為、過去のトラブル事例や製造過程をすぐに確認出来るようになっています。

その他、ガントチャート形式の工程管理を行っており、本日行う工程を視覚的に示すことによって進捗を把握出来ます。工程を管理することによって、納期遅延のリスクを下げると共に出張の回数も減らすことが可能です。
他にも写真集機能や電子黒板搭載の機能も揃えております。
全体的な効果としては、写真にまつわる業務の効率化です。中長期的に利用して頂くことで、データベースを構築し、QCD全般の改善に繋げて頂くことが出来ます。
最近は造船会社や重工メーカー、建設会社様等幅広くご導入頂いている状況です。

まとめ
製造現場のDX化を推進していくことによって、日々のオペレーションの中で、使っていて楽になると率直に感じて頂ける方を少しでも増やしていきたいと考えています。
DX化を実現することによって、毎日の業務効率が改善し新たな取り組みや発見に繋げていくことが出来るでしょう。